毎年父の命日やお盆の時期が近づくと
引き出しからそっと父の携帯を出して
充電する。
そしてある動画を観る。
それは母と私が楽しそうに話している所や
食事をしているビデオだ。
このビデオの存在に気がついたのは
父が亡くなってからずいぶん経ったころ。
何気なく父の携帯を見ていて
SDカードのフォルダから見つけたものだ。
写真が嫌いだった母の動いている姿は
かなり貴重。
このビデオの存在は母にも話さなかった。
なぜなら
母がリビングで
船を漕いでいる動画もあったから。
父がどれだけ母のことを愛していたのか。
このビデオに表れていた。
タイトルの話に戻すと
この母との動画を
私のスマホに最近入れたのを
息子が見てしまったのだ。
息子は
「元気だったおばあちゃんに会いたい!」
とポロポロ涙をこぼしていた。
そうだよね。
あんなに楽しそうに話して
ごはんも食べている姿を見ちゃったら
そう思うよね。
しばらく二人でハグしながら
亡き母の話をした。
そして最後は
「おばあちゃんに会いたくなったらまた見せてくれる?」
と笑ってくれた。
父は意外と写真が残っているから
母よりも寂しく感じないけれど
母は遺影の写真すら難航したほどなので
この動画は貴重だ。
父に感謝しながら
また繰り返し観るのだった。